坂本弘道「零式」
身体の内奥に渾然一体となり烈しく妖しく蠢く幻惑のノスタルジーとトートロジー。内なる円環のイメージをあやかしの至高美にまで高め外在化し方法化した異界のチェロリスト奇蹟の到達点。

このCDの出発点は、「オリジナリティというものの大半はその人の音楽履歴を透過した身体性、もっといえば手癖にすぎないんじゃないか」という考えからだった。自分の即興演奏の録音を分析し、そうして採集された癖やパターンをもう一度音楽に最構築していくという作業は、無意識をテーマにしたパズルのようだった。そして際限なくとっ散らかっていった音を再び収斂させたのは、皮肉にもバイク事故で骨折して動かなくなってしまった体だった。楽器が弾けない状況が音への衝動を呼び覚まし、焦燥感は作品化する原動力となった。2年を費やした身体性を巡る旅は意外な形で幕を閉じ、そして何回転もして結局戻ってきた自分の根っこ、輪ッかのイメージと合わせて「零式」(ぜろしき)と名付けた、「セロ弾き」と読み替えてもよいように。(坂本弘道)
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クレジット

全作曲、演奏:坂本弘道
Produced by 坂本弘道
Engineered by 小俣佳久
Recorded & Mixed at Toi Studio(Tokyo) & Home(Yokohama)
Mastered by 滝口博達 at JVC Mastering Center
Design 藤原邦久
Jacket art by 天野天街 with 水谷雄司(Mac operator)
Photographs 福田寛、宮坂恵津子、小林アツシ、月又光子、坂本弘道
Illustration 坂本弘道
Notes 桜井大造
Translation 高野秀行、浅野敦則、藍淑人、李閏姫
Adviser 佐竹美智子
Executive Producer 神谷一義

1999 manufactured by OFF NOTE on-33 価格¥2800(税抜き)
distributed by META COMPANY LIMITED
TEL:03-5660-6498(OFF NOTE) 03-5273-2821(META COMPANY LIMITED)


コメント・雑誌評

*坂本さんのチェロは地球上ここにしかない変種、その音楽は美しく切なくココチヨキ変態性アリアリ。CDではステージ上でとびちる「火花」だけは無理だったけど、その他の坂本はどっさり聞かせてくれます。とにかくCDがリリースされてヨカッタ。ウレシイカギリ。
滝本晃司(たま)

*びっくりした。あの無骨な男が、こんな鮮やかなCDを創り上げていたとは。やっとあなたの事が分かった気がした。今まで確かに目の前にはいたのだが、いまひとつ掴みきれないでいた。あなたの魂はこんな音楽の中に隠れていたのですね。これは私たちにとって最高級のプレゼントです。
石塚俊明(打楽器奏者)

*「零式」は21世紀の「銀河鉄道の夜」だ。汽車の窓から、飛ぶように走り去るイメージを聞いている。そして、見ている。ならば、坂本さんはセロ弾きのゴーシュなのだろうか。ゴーシュにはいろんな動物がやって来た。私には、坂本さんの肩先や、頭の上や、腰の後ろやらに、羽の生えたオルガニートやしっぽのついたオートハープ達が飛び乗って一緒に宇宙を旅しているように思えた。
山田せつ子(舞踊家)

*エフェクターを自在に駆使し、即興的にシーンを描き出す力はピカイチの「チェロリスト」坂本弘道。名物「火花」などの過激な「延髄系」パフォーマンスだけに気をとらわれていると、はっとするほど優しいフレーズでなで切りにされたりするからご用心。ループ。ミニマル。イーノもびっくりの浮遊感。そしておもちゃ箱をひっくり返したような多彩な楽器、非楽器たちのにぎやかさ。でも散らかりっぱなしではなく、有機的にまとまっていくのはお見事。お得意のエフェクト処理も、ライヴで鍛えた身体感覚のなせる技か、自然体で耳が疲れない。「実験日誌」風の淡々とした部分もあるが、シングル・カットを勧めたくなる劇的な1曲目をはじめ、楽曲がいずれも気持ち良い。チェロのアルバムとしても、単にソロアルバムとしても画期的な1時間余の力作。
(Indies magazine 1999.OCT.Vol.28/大熊亘)

*分野を問わず百戦の即興共演者が、自身を対手に選んだソロ作。チェロのほか弓で弾けるものとしてノコギリ使用、エフェクタも目一杯活用し、ホーミーまで駆使した渾沌のなかに、ミシン目に沿って切り取る快感にも似た壊れる寸前の造形美と均衡美が潜む。
(MUSIC MAGAZINE 1999.DEC/宮腰浩基)

*坂本弘道のソロ演奏を見たのはまさに偶然だった。シノラマのメンバーだということは知っていたが、ソロというものは初めてだった。坂本は、夏の白州フェステバルで(もちろんプログラムには載っていたのだが)突然のように野外の広場に現れ、演奏を始めるというものだったのだ。最初は極くふつうの演奏だったのだが、しばらくするとやおらチェロを地面に突き刺し(記憶の彼方で定かではないが)、ドリルか何か(もしかしたらモーターかもしれないが)を取り出して、延々とループする通奏音を奏で始めたのだ・・・いやはやあっけにとられた、としか言い様がないほどであった。だから残念ながら、その時の音に対する印象はほとんど残っていない。改めてこのアルバムを聴くとそのときのあの音が甦ってきた。あのとき目をつぶって、音だけを汲み取っていればよかったのだ。そうしたことがわからなくなるほどドキュメントとして映像だけが鮮明だったのだ。だから見たことがない人の方が妙な先入観が入らず素直に聴けると思う。少なくともこうした録音物という形で最初に出会うべき音だったのだ。
(G-Modern Vol.20/緒方忠矢)

*基本はチェロなのだが、ヴォイス、ノコギリなども演奏するという坂本弘道のアルバムは、沸騰しているやかんやヤスリ、オルガニート(オルゴールの一種)などとのセッションが、ユーモラス。なのに、なんだか繊細な空気を孕んでいる。必聴ですよ、これ。
(骰子 N-32 2000.JAN)

*「鋼鉄製のチェロが奏でる、恐ろしいばかりの静けさ」
 グラインダーで鋼鉄製のチェロを掻きむしり、火花を散らす。髪の毛を振り乱し、狂ったようにハーディーガーディーをかき鳴らす。ステージ上の坂本弘道はかなりエキセントリックだ。だからといって、このアルバムには大道芸のような派手な見せ場は何処にもない。何故だか、奏でられるチェロの響きは恐ろしいばかりの静けさに満ちている。
 このアルバムのレコーディング中に彼はバイク事故を起こし、右の腕と指の骨を折るという大怪我をした。そうしてチェロが弾けない状態になって、初めて自分が本当に何を創るべきなのかを理解したと、坂本は言う。でも、傷付き、疲れ果て、闇を見つめる、というヘビーな体験を感傷的に捉える訳でもなく、淡々とあるがままに、そう、とてもポジティブに音楽として昇華させているのではないだろうか。描かれている内容は重くとも、その先には明るい光が見える。
(TOWER RECORDS museeミュゼ Vol.23/恩田晃)


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